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コラム

「かっこよく」福祉してみませんか?
純粋な「ありがとう」もらえる素敵な世界

精神障がい者が主要ポイント

 就労移行支援事業所シャローム所沢、シャローム和光は、主に精神障がい者、精神疾患者の一般就労を支援する施設である。身体障がい、知的障がいの方も利用しているものの、主要ポイントは精神障がい者の就労に置いている。それは、精神障がい者の就労が最も困難な課題だからであり、精神障がい者を就労させることは、ほか2障害がいも包括できると見込んでいるからである。

精神疾患の就労が難しいのは、疾患そのものが、一般の方と比べて「精神」不安定な状態だから、体調の浮き沈みを伴う。企業にとっては、「何はともあれ出社してほしい」と思いつつも、それさえもままならない状況に陥りやすく、安定した就業が難しい事例も多い。結局企業側も接し方が分からず、戸惑うばかりで、お互いの理解が進まないまま解雇される現実を目にしてきた。(注:もちろん、成功事例も見てきているから失敗ばかりではない)

企業との狭間

これは、どちらが悪い、という話ではない。企業の理解、就労者の調整、まだまだ双方がやるべきことがあるのだが、どちらかが「合わせる」のが文化になってしまい、調整する環境が形成されにくい。新しい発想でそれぞれの視点に立ち、お互いの接点を見つけていくのが、就労移行の支援者の仕事の一部ではないかと思っている。

ただし、この仕事は難しい。企業の論理を理解しつつ、福祉の言い分を腹に落とし込みながら、絶妙は綱渡りの中での調整役とならなければいけないからで、福祉の領域で仕事をしてきた人にとっては、企業の考えやスピード感、文化と仕来りは異次元の世界であるし、企業から福祉に転職した人は、福祉の世界がまったりと見えるかもしれない。

この2つの世界を自由に行き来できる人材が求められている。

就労支援事業は、利用者のニーズをくみ取り、さらに強み(ストレングス)を深く考え、一緒に将来に向けてのイメージを広げ、やるべき準備をして就労に向かうのが基本であるが、結果を残すには利用者の力に加え、支援者の「支援力」が必要となる。

陽が当たらない場所

しかし全国2500以上ある就労移行支援事業所で、上記の「企業・福祉の双方への理解」のある支援員の割合はどれだけいるかを問われれば、心細い心境となる。

それは結局、福祉領域にいる職員が、福祉の世界で生きてきたことによって企業の論理を知る機会が少なかったからで、これは福祉職員の収入が少ないことも大きな原因だ。さらに精神疾患を「陽が当たらない」職場の印象にほかならない。収入は国の社会保障制度の中からねん出された社会保障費中という経済循環の中で抑え込まれ、市場に広く開かれたビジネスではないという問題がある。「陽が当たらない」のは、障がい者を日の当たらない場所に追いやってきた日本社会の様相そのもの、いまだに残る偏見や無理解に問題があると思う。

この2つが解消を解消した上で、若者からも注目を浴びる夢ある職場の人気職業として、就労支援が位置づけられるためには、見方を変えるしかない。職業への価値判断の基準を変えるしかない。

大変だねえ

もちろん、どんな職業も尊い。国会で首相が特定の職業に向けて拍手せずとも、すべての職業は尊い。そのお互いの尊重の中で社会は成り立っている。時折、私が精神疾患者向けの仕事をしていることに「大変だねえ」と心配声で労わってくださる人もいるが、大変なのはどの仕事も一緒のことで、記者時代も山ほど苦労はあったが、大変だと思ったことはない。今も同じで、むしろ、全力で人に寄り添い、肩入れできる仕事って面白い。利用者が就職試験に合格した時の喜びは少年時代にホームランを打ったときのように無邪気なガッツポーズが出てしまう。そして「ありがとう」という言葉をもらった時、嘘偽りない感動が胸に響き、心が揺さぶられ、自らの口からも「ありがとう」と出てしまう。

何て素晴らしい職業だろう。

私たちの職業観として、ここに価値を見いだせないだろうか。よい支援をするためには質の高い人材を確保しなければならないから、価値の高い仕事という認識と質の高い人という好循環を生み出したい。

最近、シャロームで求人を出したところ、一流企業で20年以上働いてきた人の履歴書が連続して送られてきた。そこの志望動機はほぼ同じで、仕事人生の後半は「生きがい」を重視したいという。お金よりも、感謝や感動の中で過ごしたいという。

 異業種の経験と、人生や人への思いを胸にどんどん福祉の世界に飛び込み、新たな価値を生み出したい。モノよりもヒト、である。

それは、かっこいい!

この価値観を若者に押し付けるのは難しいのだろうか。金銭を得て欲しい物を買う欲望は、捨てきれないかもしれないが、それは人から「良く見られたい」との欲求と結びついているケースも多い。ならば、精神疾患者への支援という仕事を「かっこいい!」と思ってみるのはどうだろう。精神疾患者という社会で確実に存在し、寄り添う人が必要な分野の中で、疾患者を知ろうという高い意識を持って仕事に挑み、次から次へとやってくる難題にも立ち向かい、自分のスタイルが築き上げられる。それは、確実にプロフェッショナルに向かうステップの1つひとつであり、その仕事に打ち込む姿は、確実に「かっこいい」ことである。

私もかっこよくなるために日々努力したい。だから、一緒にやりませんか?

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コラムニスト

    報告 ID:U1t3Q2UaLz

    カッコいいから福祉をやっているのですか?
    感謝してもらいたいから福祉をやっているのですか?
    福祉の現場ってそんなに甘くないと思います。

      報告 ID:Q4DSsDgEOc

      「かっこいい」仕事、それでいいのでしょうか?誰のための就労移行ですか?障害のあるかたが自己満足のために利用されているように思えてなりません。

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