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コラム

虐待なくすために「和解」文化のアプローチ
正義の対決ではなく、ケアの倫理で関わりあう

虐待、暴行の素地

 精神疾患者への暴言、虐待、暴行-。内部告発や外部からの訴えで精神疾患者の現場の対応が世間を賑わすケースが目立っている印象がある。被害者にとっては表現できないほどの悔しさや苦しさに心痛極めたのだと思うと、私も胸が苦しくなる。

 日々、精神疾患者と共に歩もうとしている自分にとっては、それら虐待行為により精神疾患者と当事者の距離が遠くなるような制度が作られてしまいそうで怖い。場当たり的な制度は、結局は疾患者と社会を隔絶させてしまい、心の距離も遠くなるという結果を導くことを社会は自覚しなければいけないと思う。何か問題が起これば、対処をする、という文化の中にあって、精神疾患者への行政的対応はその繰り返しだった。

結果的に、それは支配と服従の文化を形成し、許しや寛容の文化形成が置き去りにされたような気がしてならない。

 寛容の文化が育まれないまま、措置の中で患者と向き合うことは、自然と人を人と扱えなくなる空気を醸成しているようなもの。この寛容の文化や環境形成に向けて、私はコミュニケーションの大切さを訴えてきたが、今回は争いの中における具体的なコミュニケーションにより「和解」の文化を育むことで、社会が弾力性のある対応を可能にするのではないかと考えた。

和解とは、訴訟という「白黒はっきり」タイプの判断ではなく、「双方が歩み寄る」タイプの許しあいの姿勢である。現在私が取り組んでいる法的和解の調停人の育成が、和解文化の形成につながり、寛容社会の礎にならないかと期待し取り組んでいる。

裁判外紛争解決の普及へ

私が上席研究員を務める一般社団法人日本不動産仲裁機構が3月15日に法務大臣より裁判外紛争解決機関としての認証を受けた。裁判外紛争解決はADR(Alternative Dispute Resolution)とも呼ばれる。これは裁判手続きによらず調停・和解のあっせん等により紛争を解決する手法。裁判が当事者間の紛争について、裁判所が権威を持って最終的な判断を示すことによって最終的な解決を与えるのに対して、ADRは当事者間の自由な意思と努力に基づいて紛争の解決を目指す。

国はADRの促進を方針としていて、2007年に「裁判外紛争解決手段の利用の促進に関する法律」(ADR法)が施行され、紛争の調停・あっせんを行う民間事業者に国が「認証」を与えることで、認証事業者は弁護士でなくとも報酬を得て和解の仲介役となり、調停人も報酬規程に従い報酬を受け取ることができる(弁護士法第72条の例外)ようになったのである。

◆柔らかいコミュニケーション

 認証受けたことで、日本不動産仲裁機構は「日本不動産仲裁機構ADRセンター」として、不動産部門の紛争に関する調停人を育成する事業を担うことになった。調停人の育成は不動産に関する資格保持者を「専門知識所持者」と見なした上で、調停人として必要な「法律知識」と「ADR技術」を研修により身に着けてもらわなければならない。

「調停人研修規定」では、法律知識は「調停人としての法的知識に関する研修」(7・5時間)、「調停人としての倫理、活動に関する研修」(2・5時間)の2つに分かれ、ADR技術は「調停人としての面談技法及び調停技法に関する理論的研修」(5時間)と「実践的研修」(5時間)の2つ。後者のADR技術は、私が内容を整理し研修を実施する立場としてプログラムを作成した。基本は和解に向けたコミュニケーションの仕方等であり、法律から離れて人を相手にする対話に関する真摯な心の持ち方と行動が大きな柱となっている。

 弁護士や法学者でもない私がADR技術の研修内容を整理していることからもわかるように、和解に向けた取組みは法律の専門用語を前面には出さないようにするのがポイントだ。紛争中という何らかのトラブルを抱えた人が「白黒つけたい」という硬い心から、相手の言い分も寛容的な態度で受け入れようという柔らかい心に転化して、和解としていこうというプロセスは、日常関わっている精神疾患者が硬くなってしまう心持から自分や現状を受け入れる過程に似ている。

受け入れて柔らかくする。柔らかくして受け入れる。どちらにせよ、対話を柔らかにするには、少しの技術も必要ではあるが、最も大事なのは、仲介者=支援者として持ち続けている心の態度である。それは、その人の生き方そのものでもある。調停人の心を育て、和解の文化を根付かせることは、日本社会での荒んだ争いを無くすのに役立つのではないかと考えている。

ケアの倫理で

 裁判と和解の2つの手法の違いを考えていたら、東京大の林香里教授のケアジャーナリズムに関する論考で示されたロールズの「正義論」とギリガンの「ケアの倫理」であることに気付いた。つまり裁判は正義論であり、和解はケア。こう考えると、和解の文化を広げることはケア倫理を浸透させ「優しい」社会を作れる一助になるかもしれないと考えてしまう。

つまり、人間の一般的性向が、正義=「自己完結的」「自律的」、ケア=「相互依存的」「ネットワーク的関係性」であり、役割としてのあり方が、正義=「対象から独立」「観察者」、ケア=「対象に依存」「支援者」、テーマが、正義=「権力」「事件」「コンフリクト」「イベント」、ケア=「個人のニーズ」「苦悩」「悲しみ」「日常」、対象が、正義=「政府」「企業」「各種団体等既存組織」「プロフェッショナル」、ケア=「当事者」「素人」、目的が、正義=「アジェンダ・セッティングから判断」、ケア=「社会的コミットメント」となる。

どうだろう。私たちは和解を目指そう。それはケアが日常的に存在する社会となろう。そこから虐待や暴行がなくなる世界が広がる。だから、この仕事にも力が入る。

(了)

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コラムニスト

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    Walter Benjamin
    Walter Benjamin

    Walter Benjamin性別:男性

    重複障害者支援関連施設 アイアイホーム

    „Ich habe erfahren, dass in der Nacht nicht Brücken und Flüge helfen, allein der brüderliche Schritt hindurch. Mitten in der Nacht sind wir. Ich habe es einmal versucht mit Worten zu kämpfen. Damals lernte ich, dass wer gegen die Nacht kämpft, ihre tiefste Finsternis bewegen muss ihr Licht herzugeben.“

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    „Ich habe erfahren, dass in der Nacht nicht Brücken und Flüge helfen, allein der brüderliche Schritt hindurch. Mitten in der Nacht sind wir. Ich habe es einmal versucht mit Worten zu kämpfen. Damals lernte ich, dass wer gegen die Nacht kämpft, ihre tiefste Finsternis bewegen muss ihr Licht herzugeben.“

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    ケアの関係性で、圧倒的に強いのはケアする側である。ケアされる側も対等な関係に立とうとして生まれた考え方が、①ケアされる側の権利と②サービスに対して支払われるお金だった。そう指摘したのが、社会学者の上野千鶴子さん。
    あってはならない虐待だが、人間関係が強い方から弱い方への一方向でしかないことをどうにかしないと話は始まらない。ケアする側のさじ加減次第で、ケアの現場は如何様にでもなるのだから。そこで、今度はケアする側の意識の持ちように、上野さんは言及する。ケアする側も年老いていくと、いつかは誰もが中途障害者になるのだということ。どんな健常者も、本質的にケアされる側と同様に弱い存在なのだ。
    現在、高齢者介護の世界では数年前からリーダー研修において、1年間通じて『尊厳』について学びあっています。ケアするされる側両方ともに、生きることへの尊さとか愛おしさとか共感などが共通してあることを知り、考え続けていきたいです。とはいっても、年々介護報酬が減らされ、近々障害者支援と高齢者介護保険が合体されるかもしれなく、そして現場の職員確保が困難で益々ゆとりのない支援や介護を強いられる中、それこそ虐待になりかねない事案が惹起するかもしれないことは危惧しています。悩みは個人で抱え込まず、決して密室で起こさず、同僚と悩みを共有する(社会に開かれること)ことが、いまのところ大事ではないかと思う。

      報告 ID:lrvLGMYyop

      自分が言ってることとやってることが相反しています!臆病者です、あなたは。

        報告 ID:WcUr2fBjcX

        今無理かもしれませんが、できる限り早く旅に出ます。開かれた居場所を探しています。安全でいて開かれた居場所。古い友達を探しています。

          報告 ID:WcUr2fBjcX

          突然のリプライ失礼します。居場所を探しています。健常者と障碍児の境はどこにあるのですか?声をかけられない人がいる。開かれた居場所を探しています。

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