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コラム

疾患者からの「ココロの詩」大募集
思いを表出させ、CD化で新たな世界に

「ケアステージ」始動

 障がいや疾患、その他様々な原因で「生きづらさ」を感じている方々、その家族や友人、関係者による「ココロの詩」を募集します―。このたび、こんな企画を立ち上げた。4年前から「ケアメディア」推進プロジェクトとして、「ケアメディア」なる概念を広め、何らかの原因で生きづらさを抱えた人とつながり、ケアしやすい、ケアされやすい社会づくりに向けて取り組んでいきたが、今回は音楽というメディアに特化した活動で、レコード会社「エイフォースエンタテイメント」と歌に関する出版社である「歌の手帖」とともに、「ケアステージHUG」と名づけた企画の一環として詩の募集が行われる。

ケアステージHUGはプロのアーティストが、「音楽が必要されている場所」に出向いてパフォーマンスを発揮する活動が中心。アーティストが出向くであろう全国各地の福祉施設や病院などがステージであり、そのステージからアーティストが歌や演奏によって、観ている人の心をHUG=抱きしめる、というイメージである。

 障がいや疾患で困難にある人への支援には「寄り添う」との言葉が使われがちだが、ここでは一歩進んで「抱きしめる」ことにしたのは、私自身、福祉の現場にいる者として、その現場が社会や音楽と隔絶されている印象があり、アーティスト側に強い思いでアプローチしてほしいという考えからだ。

必要な場所に音楽を

 音楽が人をケアする効用は自明のことではあるが、その音楽を業界としてとらえた時に、音楽はどこか居座ったままのような気がしてならない。長年、音楽業界に携わってきた関係者は、最近の音楽の動き方として「お金のある場所」「お金を生み出される場所」が重視される傾向があると話し、お金がない場所、音楽的なケアが必要な場所に、音楽は届いていない、と力説していた。

おそらく、そうなのであろう。障がい者に本物の生の音楽が行き届く機会は、あまりにも少ないのだ。だから、お金がないところに音楽を届けるために、実現に支障となるであろうお金は介在させないことにした。あるのは、届けたい意思と聞きたいという思い、そして、高い質のパフォーマンスだ。

ケアステージHUGのホームページでは、福祉関係の施設など「音楽を演奏してほしい側」と演奏を行いたいアーティスト側のそれぞれの入口から登録の受付を行っている。ホームページで手続きを行い、ライブの希望を調整していく仕組みで、費用は一切かからない。施設側は出演料も交通費も謝礼も介在させないことにして、費用面での心配は無用にしている。

さらにアーティストといっても路上パフォーマンスを続けている方や地道な活動をされている方も立派なアーティストと考えてはいるが、やはりメジャーデビューしていることを基準とし、福祉施設で演奏することを考慮しつつ、ある程度のパフォーマンスの質も確保したいと考えている。

優秀作品はCD化

詩の募集は「第一回『ココロの詩』大募集」と題し、「今あなたがみんなに”伝えたい気持ち””分かってほしい真実”を詩という形で募集します。今までの枠に囚われずどんな形式でも結構です。優秀作品はCD化も予定しています。みなさんの言葉・想いが多くの方に届きますように、ご応募をお待ちしております」と呼び掛けている。

私もこれまで、障がい者や疾患者とお話し、その苦しさや過去の体験、疾患により抱える苦しい思いに接し、それぞれの人生の奥深さ、見える風景の新しさを実感してきた。それは記者時代の取材で相対した様々な人との対話では見たことのない風景で、常に新鮮な驚きがある。だから、その世界を詩にすることで、本人の可能性の広がりとともに、障がい者の表現世界が社会に出ることで起こる新しいつながりという化学反応にも期待している。

 ココロの詩の最優秀作品は歌曲として、その詩の表現に見合った作曲と歌い手による演奏で一般流通される予定だ。ここで詩を「歌」にするのは、その詩を「読む」という行為だけでは、広がりが限定的なため、「歌」という作品に仕上げることで、より多くの人に知ってもらいたい、という狙いがある。

リアルを文字に

今回の詩に募集するのは、精神障がいや知的障がい、身体障がいの方が多くを占めるかもしれないから、現在の社会の中でこれらの方々が分断された関係性になっていることも課題と感じ、「歌」というメディアでそれら障がいをステージに上げられないか、という思いもある。

私自身、東日本大震災の悲劇を多くのコミュニティに共有したいという思いから作ったのが歌曲「気仙沼線」「サンマ漁」(いずれも歌・大至)であり、精神疾患者とのつながりを意識したのが「春と夏~ウサギとカメ」(歌・奈月れい)であった。どちらも、ジャーナリズムで表現するべきリアルを歌にしたもので、リアルを歌にすることで、表現するべきことが伝わりやすくなったり、残すべき記憶を刻みやすくなると考えている。

だから、見える世界をそのままを文字にしてほしい。そのリアルが人の心を打つことがある。熟考された言葉でもよいし、閃きをそのままでも構わない。

こんな思いを伝えながら、まずは紙を目の前にペンを握って、多くの人に「ココロの詩」を送ってもらいたい。優秀作品としてCD化されるのは1作品の予定だが、よい作品が集まれば、出版することも検討できると期待している。

募集要項:http://www.caremedia.link

メールアドレス:info@caremedia.link

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